2年間を振り返って

2025-03-28 17:03:00

森林たくみ塾

先日、森林たくみ塾での最後の実習を終え、卒塾式を迎えることができました。

当初はたくみ塾に通うことを考えている人に向けて何か参考になればと思い、発信の練習の場として始めたブログですが、日々のたくみ塾生活をこなすことにいつしか精一杯になってしまい、すっかり更新が遠のいていました。

今は卒塾して時間に余裕があるので、2年間を振り返って、たくみ塾がどういうところだったかというのを書いていきます。

卒塾までの日々

前回から期間が大きくあいているので、その間のことを少し書かせてください。

ざっくり書くと、実習や課題を通して、初歩的なことを指摘されることがとても多くて、実習でも戦力になっているとは言い難いような状況が続いていました。それに関して落ち込むことが多く、何をやっているんだと自分を責める日々が続いていました。それに伴い、スタッフや他の塾生との関係もどこかぎくしゃくしたように感じ、人間関係もうまくいっていませんでした。

この時点でたくみ塾での学びは非常に効率の悪いものになってしまい、その状況を打開しないとたくみ塾に残る意味はないと頭では考えているものの、思考を整理する間もなく、次の製品を担当するような日々が続いていました。自然と手も遅くなり、悪循環の中にいたように思います。

いつしか卒塾すること、卒塾までに製作課題を完成させることが目標になっていました。

実習をこなして、課題に取り組み、家帰ってご飯を食べて寝て、また実習。これだけを淡々と繰り返して、それ以外のところにエネルギーは割いていませんでした。就職活動もこの状況ではできないと判断し、卒塾後に行うことを決めました。

そうしてあと3ヶ月、あとひと月、あと一週間。そうやって耐えるようにして、なんとか迎えた卒塾式というのが現実です。

自分との戦い

たくみ塾という場所はいい意味でも悪い意味でも変わりません。

今年の塾生は出来が悪いからといって求められるクオリティが下がるわけではありません。私が落ち込んでいても、対応が変わるということは基本的に起きません。それはここが訓練校ではなく、実際の製品を作っているからこそです。実習は課題ではなく、実際の仕事と遜色ないので妥協が許されません。そうした中で変えられるのは自分だけ。自分がどう変わっていくかが大切になります。

去年卒塾した先輩が卒塾した際に「嫌な自分と向き合った2年間」と言っていましたが、それを痛感しました。変わらなきゃいけないのに、また同じことをしている、適応できていない。そうしたもどかしさを感じました。また、塾長からは「自分の型から動こうとしていない」「歳を重ねると自分を変えれずに苦しむ塾生が多い」とよく言われていました。

結論、私は自分を変えることができず、適応ができていませんでした。なので、たくみ塾では劣等生でしたし、その分苦労が多かったです。

ただその中でもスタッフの方々はいい意味で変わらず、基本的なことができていないと判断した際は何度も聞いたことを丁寧に説明してもらいました。心のうちでは何度も同じことを言わせて申し訳ないなと思いつつ、以前とは違う気づきを得られることが多く、受動的ながら最後まで続けていてよかったと思うこともありました。何より卒塾を控えた塾生に対して丁寧に説明してもらえたのはとても感謝しています。

現場主義

たくみ塾は木工の教育機関ではなく、実際の製品を作る木工所です。通えば木工職人になれるのではなく、一日でも早く技術を習得して、仕事を覚えていく場所です。実習で全く使い物にならなければ居心地は悪くなります。そこらへんは実際の木工所と本質的には変わりありません。仕事を通じてコミュニケーションを図り、技術を教えてもらいながら、一人前に近づいていく。スタッフは教育担当ではなく、同じように木工所で学ぶ先輩という立ち位置です。仕事ができる塾生はスタッフから知識を吸収して、仕事もそつなくこなしていきます。このあたりは現実世界と何も変わりありません。

私の場合は前職時代からそうした人間関係構築が苦手だったタイプの人間で、そうしたことが露骨に悪影響をもたらしていました。

そういう意味ではたくみ塾には向き不向きがあって、万人向けというわけではありません。私が入塾した34期生は当初は9名入塾しましたが、卒塾時は2名にまで減っていました。金銭的な理由であったり、怪我などの身体的なもの、家庭の都合など事情は様々でしたが、このあたりの認識が人によって様々でたくみ塾の体制に不満を持っている塾生もいました。

ただたくみ塾の本質は教育機関ではなく、徹底した現場主義にあるので、堅牢なカリキュラムがあって2年間の学習内容が保証されているような教育環境を想像していると、不満を持ってしまうのかなと思います。むしろスタッフや塾生の数や経験などは流動的で、塾の雰囲気は毎年ガラリと変わっています。こうした流動的な環境下で一定の成果を出し続けるのは大変だと思うのですが、そうした環境に適応しつづけることで、実際に就職しても環境に対応していく体力を身につけているのだなと思います。実際にたくみ塾のスタッフはとても大変そうな仕事なのですが、それをこなしていくことでスタッフはものすごい成長するんだろうなと想像できます。

卒塾した今

卒塾までは陰鬱な気分で笑って卒塾式を迎えられるかどうか不安だったのですが、実習最終日を迎え、やりきったことへの達成感で今までの苦労が報われたように感じました。卒塾式も無事笑顔で迎えることができ、気持ちよく送り出してもらうことができました。

今なら当時の状況で為すべきだったことがわかるような気がします。

人は迷い、悩むと驚くくらい弱くなります。判断にも迷いが生じ、言葉にも詰まり、元気がなくなります。世の中には悩みに対処する術を書いた本が山ほどあって、それに出会える余裕さえあれば、もう少したくみ塾生活を有意義なものにすることができたなと思います。

悩みをなくすためには、取り得る選択肢を書き出して、選択肢からひとつを選び、決めたことを実行することが大切です。一度決めたら悩まない、振り返らない。そうすると決める。覚悟がいることですが、決めてしまえば楽になる。

今、思い返すと同じような言葉をスタッフに言われたことがあった気もします。でも、やはり当時の状況だとすんなりとその言葉が入ってこなかったんだろうなと思います。自分で気づかない限り、変われないのかなとも思います。結局、自分を変えられるのは自分だけ。

木工の技術以外にも仕事の取り組み方、人との関わり方、自己の捉え方、そんなことをたくみ塾で学んだ2年間だったと思います。

思いついたままに書き綴ったので、まとまりのない文になっているかもしれません。書き足りないことがあれば、また後日に書くかもしれません。

今後のことはまだ何も決まっていないので、決まり次第 Instagram でお伝えします。ネット上で発信する場所は欲しいと考えているので、ブログはまだしばらくは続けようと思います。

<< 最近考えていること